「ん?もしかして、これ。買おうとした?」
素直にうんと言えなかったあの頃の私は違うと答えた。
でも、違うなら声も出なかっただろうし、反応もしなかったはず。
それが相手に伝わったのだろう。
「あげる。」
「は?」
いきなりだったから、びっくりした。
「いらない。っていうか、貰う理由がない。」
「間違えて押しただけだから。僕はエスプレッソを買う予定だったから。」
そう言ってにこりと笑った。
「いらないってば。」
「いいから、貰って。それじゃぁ。」
無理矢理コーヒー牛乳を渡された。
彼はすたすたと歩いて行ってしまった。