「 すっ! …すみません! 」
やたら長い前髪を、必死にかきあげるが
下を向くたびに、下がって落ちる
俺が走り寄るのと同時に
プリントされた紙を拾い始めたのは
どこかの制服を着た
足を綺麗に揃えながらしゃがむOLさん
次には、サラリーマンと
地下街の買い物袋を下げた主婦
そして、男子校生の集団
皆、言葉少なだが
笑顔で拾った紙を渡し、
それぞれそこから去って行った
「 ―― はい 」
「 あっ ありがとうございます! 」
見上げた顔が、俺を見て固まる
「 … 何か、ついてる? 」
その問いに彼女は我に帰り
下を向いて、真っ赤になった顔を振った
「 …アンケートか何か? 」
「 あっ… えっと
わたし、
ルポライターになりたくてですね!
てっ テーマは、
十代の女の子の生態と言いますか
―― 都会の女の子の
趣味とか、そんなものを集めたくて
ずっと朝からウロウロしてるのだけど… 」
「 上手く行かないわけね 」
肩を竦め、コクンと頷く
「 … じゃあ ちょっと待ってて 」
――― 自分でも
何で体が動いていたのかは判ってた
多分、口ではアズに
謝らないなんて言ったけど
当たり前に、大ショックで
同時に、少しだけ
あの女の気持ちを考えたりした
――― 日本に戻ってすぐ
あの部屋は引き払い
念の為にと言う、真木の指示通りに
ハシバと同じマンションに移った
ミチルは今回の事情について
本当の事は、何も知らないけれど
千葉の親戚の家に戻り
" 最近調子に乗りすぎていた "と
学校との往復を繰り返している
――― "最近の子"を、殊更えらび
声を掛け、協力を求めた
「 あれー? アンタ、
昨日も声かけて来なかった?」と
少女達は面白そうに、質問する
眼鏡の奥が一瞬怯むが
声を震わせながらも必死に
『 今 興味あるものは… 』と
聞き出し始めた


