いばら姫






―― アズは一度起き上がって
自分が着ていた上着を脱ぐ




「 …下のシャツはいいよ

とにかく体、暖めろ 」


かじかみながら、
ボタンを外そうとしていた指を止め
再び横に倒して、毛布と布団を掛ける


「 ―― アズ、手を 」



アズは白い腕をスルリと出して
俺はその指を、ゆっくり握った





時間が経っても ―――
それ以上何もして来ない俺が
不思議だったんだと思う


アズは小首を傾げて
ぼんやりとした瞳で見つめて来る



「 …なあ アズさ

俺いま、

―― お前が言った、
すまなそうな、辛そうな顔してるか? 」



「 …… うん 」



「 去年、俺が
お前にキスしたり…
そういう時にした顔とは違うだろ? 」



「 ……うん 」


「 青山がさ
…予想だけど こういう顔して
いきなりキスして来たろ

お前と、入口で別れた時みたいな
あんな顔だったんだろうと思うよ 」



「 ………… 」



「 でも、同じ顔してても
俺は今、手をださず、
青山はキスして来た

―― 何でだと思う? 」




「 …… わかんない 」



「 …あのな

青山と俺は
多分、その辺 正反対なんだよ

あいつは…
精一杯我慢して、
耐え切れずってタイプだろ


―― 俺みたいに、
えっちに特に意味なんて無い奴は
本当に何も考えないで

…… 口じゃ、色々言うけどね 」



「 … でも!

―― 昔は… リュウジ 」




「 … そりゃ当たり前だろ

いくら何思おうが、火着いちゃったら
十代の男なんて自制なんか利かないし


ここでやめてくれとか言う女って
本当に男の体の事判ってないよな

これ、エロ話じゃないぜ?
保険体育とか、そういうレベルだべ 」


「 たいへん? 」


「 大変みたいよ 」



「 …みたいって…

淳は、
そういう風に言われた事ないの? 」