いばら姫





驚いたのは

立ち去ろうとした場面に
何処かのスカウトとか言う人が走って来て
アズにいきなり、声を掛けて来た事


持っていたファイルには
今まさに、この街で流れている
音楽達を産んだ顔触れ

唖然とする俺を尻目に
アズは一生懸命、自分はもう
事務所に所属している事を説明



無理矢理に渡された名刺を受け取り
またもやペコペコとお辞儀した




「 あらら、すげ… UNBMだってよ? 」


「 え… Dhiran Carとか居る所か?! 」


「 う、うん…… 」



水谷はクスクスと、おかしそうに笑う


「 UNBMは、
Global音楽部門立ち上げより
全然 歴史古いし

…お父さん達に手伝って貰わなくても
ルウはちゃんと歩ける証が見えたね


―― いっそ契約切れたら、ここに移って

『Azurite』として
活動するのも良いかもしれないよ 」



アズは笑い顔を消し
足を止めた




「 ―― 本社に

オーディションなんて形は取ってたけど
俺以外は、会社のお偉方の身内

そんな形でバックミュージシャンを
決められてしまう事になって


… 『Azurite』の名前
使いたく無かったんだろう? 」





「 … うん 」



「 え… それ、どういう… 」



「 驚く事じゃ無いってば

昔から物語にも
古典的に、よくあるじゃない?

" 役者である主人公が
舞台の主役を目差して、
オーディションを受ける

が、何故か実力の無いアイドルが
その主役に抜擢される "

いわゆる " 出来レース "だよ



もちろん、あの子達も出演した
松田さん主催のコンテストみたいに
無名の実力ある人々

宝石を捜そうとする
きちんとしたオーディションは沢山ある



今回、お姫様の周りには、
そんな王子様達が勢揃いで

CD一枚出してやって、ご機嫌取り
合コン、プチ舞踏会状態を
御用意された感じかな? 」


「 ―― 何だよそれ!! 」