いばら姫






―― アズが歌い終わった後

周りをいつの間にか、人が囲んでいて
口笛や拍手を浴びながら
ギクシャクした動きで、
ニット帽を掴みながら
大慌てでお辞儀している


人々の手には、紙幣やコイン

取り集める物を
なにも持っていなくて

両手の細い指を拡げ、
零れそうな人々の好意を、必死に受ける




しばらくして
白い肌を紅潮させながら
パタパタと俺達の元に走って来た



「 ―― か、 稼いだ!!! 」

俺はあまりにダイレクトな物言いに笑い
水谷は、座ったまま



「  ルウ  」


「 う、うん 」



「 ―― この世界も、

捨てたもんじゃないだろ? 」





水谷の言葉に
アズは黙っていたけど


「    うん   」


そう言って、コクリと頷き
照れたように、小首を傾げて笑った