いばら姫




「 カッコイイとこ見せればいいじゃん?

この後
スケートリンクに連れて行くのも良いし
ルウ、スケートした事ないしさ



… 俺も楽しそうだから
これからユカちゃん、
少しからかって遊ぼうかなあ


   一番カンタンなのは
" キミの才能が欲しいんだ "とか言って
ヴォーカリストにして…

芸能界に入れば学校みたいに、
頻繁にどこかで会えるって
あの子、思ってるみたいだからさ

実際違うって判ったら、
すごく焦るんだろうなあ…

ひと時の即席姫
沢山の見た目の良い男連中と
やりたいだけで並べられる甘い言葉

簡単に、誰にでも転ぶ 」



「 やめとけよ
―― お前が言うと、洒落にならない 」


「 だって正直、
今のあの子達のバンドじゃ
プロとしてやって行くのは無理

松田さんレベルのプロデューサーがついて
莫大な宣伝費注ぎ込んでデビューしても
最初だけだね

そして消える


仮に、
あの中で生き残って行けるとしたら
ドラムの女の子かなあ

キーボードは恋愛したら、すぐに辞める

真木の妹は論外、
ただ環境に恵まれ、
スタートダッシュが早かっただけ

ドラマーは吸収速いし
パワーは無いけど、センスいいよ
女性ドラマーって少ないから
見栄え的にも需要多いし

ただ、周りに合わせてるせいで

―― 同じリズム隊
ベースのせいがでかいね 」



「 …そうだよ
だってユカちゃん、ベースだろ?
何でヴォーカルなんて話になる 」


「 あれはね、本当は歌いたい人
多分、ルウや灰谷目にして
歌いたいなんて言えなくなってる 」


「 あの二人基準にしちゃ駄目だろ… 」







ふと
アズが手を止めて、上を見る


次には地上に影



――― 空には

葉巻型に枠組みの、白い飛行船





「 … ホンモノだ… !! 」




ビルの谷間を進む飛行船を
アズは頭を持ち上げたまま
腰をあげて、ゆっくり後を追う