いばら姫




回転扉

ロビーの人工照明から切り替わった
眩しい外の光と排気ガスに、
目を一気に遮られる


舗道、ガードレール

車道の向こうにも、こちら側にも
路肩に停まった車の列を、
アズは背を伸び上がらせて見回した


「 …あれー?

淳、ごめんね
ホテルの前まで来てるって
言ってたんだけど… 」




アズが振り返った時

――― それは
説明の付かない感覚ではあって
ただ『 何だか嫌 』で
手首を握り、自分の後ろに
アズの体を隠す



「 …… 淳 ? 」


アズが声を掛けて来たと同時に
「 ルウ!! 」 と、明るい呼び声がした


「 あ! 居た! こっちこっち! 」



――― 白い車の
左側の窓から顔を出し
手を振る" 水谷 "の元に、アズは走り出す

俺は手を引かれながら、その車の傍へ行き
笑う水谷の開く助手席側へと

後部座席に促されたアズと別れ
乗り込んだ