いばら姫




「 …まあよ
リアルこんなモンかって事が
ちょっとあったんだよ

なら、テキトーに親の敷くレール乗って
テキトーに楽しく
やって行けばいいかなって
今時の若者のフリしてたのに
コイツが現れやがって…


―― 普通なら死んでるトコ
しぶとくこの馬鹿は生き返って
オレ達の傍で笑ってる

…泣いてるか
鼻かんで来い
ついでだから、ネマキに着替えろ 」


アズは、真木に軽くキックされ
顔を擦りながら、部屋に入る





「 ―― で、どうする? 岡田 」


「 どうする… ? 」



「 へこむだろうし

…充分気持ちは判るつもりだ


―― 気にするなとは言わない

いくら、アイツ自身が過ぎた事と言っても
オレ達も全て忘れて
平気でアズルの傍に居るワケじゃ無い

…あの事は一生忘れない



もうアイツの後ろに
ローグウェルが居る

―― 本来、
消えるならオレらの方なんだよ



日本じゃ
セレブ・レインブーツとか言って
ちょっと凝った長靴が流行ってるけど…

これから先
玄関を出たら、目的地の玄関まで
アイツの足先を決して
雨水や泥が汚す事は無い


その気になれば、
どんなブランド店だろうが店ごと
"ハコ買い"出来る



なのに未だに、
アイツが大事にしてる持ち物っていや


青山が着けてやった青いピアスだろ?

オレがやった辞書、本とか…


アイツ、家族写真どころか
産まれた時の写真もないからさ


―― 池上が写してやった
あのポートレートは、
アズルが産まれた日の記念写真なんだよ


… だから青山は
今、自分の手を離してる

自分の足で、アズルが歩き

そして色々な景色、人と会って


―― 今の青山自身を見て
アズルが自ら青山を選ぶまで
待つ覚悟を決めてる 」


「   …アホだ 」



真木は笑い
俯せになっていた体を起こし、首を廻す


「 あ、 ボウズ!
オマエ、何か岡田に話あるって言ってたろ

起きてるか?! 」