いばら姫





「 …あれは、ゲームだから

でもよく…あんな無責任言えたって

――― 今は 思うよ 」





「 うん ゲーム

あのね…

多分、周りの皆や
Maxim ――淳が思うよりずっと
私、冷静にゲームやってたよ

戦闘してると忙しいから
考え事しなくて済むし



…私のお腹の傷が
お父さんは最初、事故って言ってたけど
違うのは、なんとなく判ってた

手に、傷あったし


―― 多分、タカオが居ない時に
私、何かあったのかなあって


でも
思い出そうとすると、頭痛くなるし
…涙ばっかり出て来て

端の欠けたスライドが
どんどん頭の中で切り替わって


―― 何処か、空が見えた


だけどそれは
鍵の壊れた本みたいで
開こうとすると、反転したネガみたいに
白茶になって消えて


その後必ず、病院のベットに居た 」




「 …一度、オレも運んだぞ 」


「 え… いつ?! 」


「 …オマエが日本に帰って来てから

―― 池上が
いつまでも青山を
オマエが思い出さない事に焦れて

病室から連れ出して、屋上の下まで
車椅子で連れてったの覚えてるか? 」



「 ……ううん 」


「 病院、大騒ぎになって
オレのトコにも連絡来てさ…
…行ったらオマエ


―― まあ、早い話
オレが思うにはさ、頭の中が思い出すの
拒否ってた理由って

刺された痛みや衝撃と
小さい時の、怖い記憶がリンクして

オマエの中で
" 失敗したから怒られる "に
なっちゃったんじゃないかって 」



「 …私、なんか言ってたの? 」


「 涙だけ、延々と流しながら
" リュウジ、ごめんなさい "って
ずーっと繰り返してた
だから、そうなのかなってな 」


「  うわあ… 可哀相… 」



「 ―― 人ごとかよ 」


「 だって覚えてないもん 」



真木は苦笑しながら
アズの困った顔に、メニューを押し付け
横に座り、肩を抱いた