部屋に戻ると真木は、
「なんか食うか?」と声を掛け
アズは「アイス!」と即答するが
「わかった あったかいスープな」と
フロントに電話をかける
「えー!!」とアズは抗議して
「うるせー!見てて寒いんだよ!」と
真木は、脚で阻止
けれど
「…全部食ったら、
デザート頼んでやるから」と片眉を上げ
笑うアズに煙草を取らせた
―― すぐに運ばれて来たスープは
具がたっぷりの、クラムチャウダーで
唇を細め、一生懸命に冷ましながら
銀のスプーンを口に運び
青白かった肌は
頬から少しづつ色を戻し
濡れた睫毛の碧が、白い湯気に熔ける
スープに
肩から流れた髪が入りそうになって
咄嗟に俺が、手で抑えた
「 ありがとう 」と
何故かアズは立ち上がろうとして
暖炉横に居た真木は
自分の結んでいた髪からゴムを取り
親指と人差し指に掛けて、アズに飛ばす
バチンと服に当たり、良い音がして
アズは何時もの事なのか
怒りもせずに、それを拾って
自分の髪を、高い位置にあげて
一つに結んだ
真木は白い歯を見せ、軽く笑って
茶色い髪を肩に拡げ、相変わらず暖炉の横
腕をポケットに入れ
脚は交差したまま、ジッと
オレンジの炎に照らされたアズを見詰める
――― 白い耳に、青いピアス
「 …アズ
―― 何で、あんな危ない真似した…? 」
「 淳は、心を助けてくれたから
えと… だから、体を、助けた
未来の淳を
お返しって言い方変だし…」
「 … お返し… って 」
一見、事もなげに
けれど、どう言って良いか判らず
一生懸命、言葉を捜すアズに
愛しさより先に、腹が立つ
「 ―― お前…!!!
死ぬかもしれなかったんだぞ?! 」
俺があげた怒声に
スプーンを持った、アズの指が止まる


