「 時間か 二人共 」
真木のその声で
灰谷と青山は立ち上がり
一階ロビー エントランスの
回転扉の前まで見送る
" ここで良いよ "と 青山が言い
寸前まで灰谷と
賑やかにはしゃいでいたアズが押し黙る
「 … またな あずる 」
青山は、少し屈んで
アズの頬を引っ張り、柔らかく笑う
―― 手を離した瞬間
その目は薄く揺らいで
踵を返し、ドアに向けた強い視線は
もうまっすぐに 前を見ていた
二人を見送り
暫く経っても、
アズはこちらを振り向かず
真木はその横で ただ顔を見続け
白い指がきつく握られ、震えている肩を
抱く事は無かった


