いばら姫





青山は、お婆さんに手を振り
子供の集団と共に戻って来る


お婆さんは一度だけ振り返り
こちらにも手を振った




戻って来た青山に
ニンジンと、
まだ湯気の立つパンを渡されたアズは

頬を膨らましながら、
同じ様にパンを頬張る子供達と一緒に
オレンジ色の鼻を大喜びで作り

行き過ぎる人達も、
それを眺めながら微笑む



『 …青山さん
そろそろアズの事、部屋に戻してあげて

俺ちょっと、
岡田さんとスーパー行って来るから 』


青山は "了解" と微笑み
突然ロールパンをポン食いして
子供達とアズの爆笑を受ける

皆が手を振り合う中
アズを伴い、公園の入口へと歩き始めた


慌てて腰をあげた俺の耳に
灰谷の声が響く



『 …平気だよ 』


「 こっ…こんな事があった後で
二人とか危ないだろう?! 」



『 …平気なんだ

今、この周囲はローグウェル家の
ボディーガードで固められてる

あのお婆さん、アズのお祖母さんだし』


「 ?! 」




―― アズと青山が
公園の入口に差し掛かったのを
見届ける様に
お婆さんはベンチから立ち上がって

その周囲には、
彼女を守る様に移動する、普段着の男達


灰谷にそんな事を言われたせいなのか
…… 少しづつ公園の空気が
軽くなって行く気もする



『 … 移動したね

寒いし、何処か入ろう

多分 また偽サモハンから
連絡来ると思うから 』