いばら姫
















打ち捨てられた廃墟を走り回る




水に濡れた手は
雨を雪に変えた、冷たい風に晒されて
だんだん感覚が無くなって来た

体の熱を奪って、
拳の中の鍵が、代わりに熱くなって行く


工場や倉庫、そんなデカい扉を
開け閉めするような鍵じゃ無い


―― もしかしたらこの場所じゃないのか

そんな事を思った頃


こんな場所には不自然な
甘い匂いが、鼻をくすぐる