いばら姫






―― だんだん雨足は強く

髪を濡らして行くそれは
あっという間に霙に変わった


水谷は
ブーツの隙間から小型の拳銃を出して
俺の胸へと、突き付ける


押し上げられながら立ち上がると

俺の頭へと照準を変え
石の擦り合う音を起てながら
少しづつ、距離を空けて後退り

人型に乾いていた、灰色の地面は
重い水音と共に黒く染まった




「 ――… 行けよ


… 後は 勝手に捜せ 」



「 水谷 !! お…お前! 」




「―― そんな顔しなくても

… 自分の為に理不尽を叫ぶ時期なんか
とっくに終わったよ


これが俺の『現実』だ


…… 誰も好きになれなかった俺に
ルウは "感情"をくれた


抑え切れ無い醜い嫉妬も

誰かとひとつになりたい衝動も

――― 他人を大切に思う気持ちも



… 俺が死んだら ルウは泣く

だから、死なないよ ―― 」