いばら姫








―― 予想しなかった柔らかさに
力を抜いてしまった俺の眼を
振り向いた視線がきつく刺す



「 ―― 態度、あっさり
変えてんじゃねえよ! 岡田!! 」



股間を蹴り上げられそうになって
慌てて飛び退く


―― 立ち上がった水谷は
粗い息を吐き、咳き込んで
下げられたジッパーをあげた




「 水谷 ―――」


――― だからお前、アズに手…


絡まる喉で、そう言おうとして

…奴のジーンズを探った時、
うっかり手が当たってしまった
不愉快な感触を思い出す



「 え… どっ 」



動揺している俺を嘲笑う唇は
大きく形を歪めて呟く


「 ――… 残念ながら
両方 天然物だよ?  岡田君

… アズの事を考えれば
"ちゃんと反応する"し


この意味、判るよね… ? 」





水谷が携帯を開き
ボタンを押そうとして我に帰る

地面の砂利山を蹴り
再びその体を押さえ付けた




「 ――… それで良いんだよ

…どいつもこいつも、"アズ アズ"

ふざけんな…… 」



「 ―― 水谷……

お前… アズが…嫌いなのか…? 」



「 ―― 男だ ? 愛だ? 


だったらちゃんと、ルウを守りきれよ!

俺がやっていたのはその試験だ!!


何で……

何であんな綺麗な子が
こんな汚い世界に一人ぼっちで
傷付いて生きなきゃいけないんだよ!



―― そんなの 俺は絶対認めない… 」




「 ――― 水谷   」



「 …… お前もそうだ 岡田



―― 俺が最初にルウに会った頃

あの子は、いつ消えても
おかしくなかったのに … 」