いばら姫






――― 初めて

水谷の表情が変わるのを見た




…お望み通り
『見せ場』を作ってやるのは癪だったけど

早く鍵を奪い取って、
―― アズを助けてやらなきゃ





「 …しのごの言ったって
何がどうしようが…

俺とお前の、アズの中でのレベルなんて
その辺の雑魚と変わらないんだよ!! 」




―― 膝の位置にある頭に
思い切り膝下を当て蹴り飛ばすと
水谷の体は横倒しになり
サングラスが吹っ飛んで行った


けれど予測していたのか

顔と俺の脚の間に腕をいれて
ダイレクトなダメージは避けられてしまう


両手を着き
立ち上がろうとした体を再び蹴って

水谷の片脚を尻の下に折り込み
そのまま座って、背中に右手を捻りあげ
首を肘で締め上げ反らした





――… 唸る水谷は、驚く程弱く
あっという間にポケットの鍵を
取り上げる事が出来てしまって
かなり拍子抜けする


思えば

本当に喧嘩は、体に筋肉ついてるとか
運動が出来るとかよりも
"喧嘩した事があるか"だから
大体は、こんな物だったかもしれない


… 青山がおかしいんだよ…



だけどあのチャイナタウンで
窓を割って逃げ出した時
こいつ、めちゃくちゃ足が速かった


用心の為に、携帯を探す



「 ―…っ 心配しなくても

仲間なんて御大層な物い…っ 」



無視してジーンズの尻、両脇

このタイプのベストダウンは
メインで使えるのは胸ポケットだ


ボアの併せからジッパーを下ろし
首の横から、乱暴に探った









「 ――― え 」