何通り、 それを案内する標識――
碁盤の目が交差する道の
何処にでもあるそれを確認する事も無く
ただ森の影から見える
尖塔の天辺を見ながら走った
午後の空気は
相変わらず寒さで硬いけど
空は少し青みががり
日の光が地上を照らした
―― 何かのバザーなのか
横にずっと露店が並び
民族衣装を着た楽器隊が、
華やかな音を鳴らしている
様々な服装
それぞれの目的
石畳の道
その周囲の店は、
怪しいマジックグッズショップとか
舞台で着る様な服の店があったり
―― 三角帽にマント
中世風の甲冑
木の杖や剣を持って
高らかに歌を唄う一群が大挙して現れて
一瞬、
自分がどちらの世界を走っているのか
―― 錯覚を起こして慌てる
ふと見ると
コートの小脇に、
ミュージカルのパンフレットを抱える人々
頭上には、舞台の内容を、
派手に表現している大きな看板達
『 ―…ユカ!! 岡田さん!! 』
ゴツゴツと速い音をたてて
ファイヤーマンコートを着た黒い影が、
犬みたいに疾走する小さな体を止める
「…離して!!
あそこに、何でか解らないけど
青山さん達いるんでしょう?! 」
『… 何でこんな走ってる?! 』
「だ…だって!!
く… タクシー止めたのに、
ドア、全っ然開けてくれなくて
走って…行っちゃうし
乗れなかったんだもん!! 」
『…自動扉じゃ無いから 』
「――…… へ?! 」
ユカちゃんは顔を真っ赤にして
… それは俺もだけど
灰谷が道に付けている、
イエローキャブに声をかけて
自らドアを開き
ヨレヨレになったユカちゃんを
強引に押し込むのを見て
俺もバツ悪く、その後に続いた


