いばら姫





―― 虚構の空間に建つ"BARCHROME"城

その歪んだ尖塔の先は
地面に向かって延びていて


摩天楼に囲まれた、 頭一つ高いビルは
鏡合わせの様に、同じ位置

リアルの地図上にあった




「 …――エンパイアステイトビル!! 」



『 ジョンさん!!
五番街に向かって! 』


「 ユカ!! 」



そうと判った瞬間、
部屋から飛び出してしまった俺の横に
何故か必死の形相でユカちゃんが居て ――



「 岡田さん!!
早くエレベーター閉めて下さい!! 」


ユカちゃんはボタンを自分で連打し
慌てて着いて来たドアマンが
その様子に困惑している


「 でもユカちゃん!君は帰らないと! 」

「判ってる!!
…でも、私アズさんの友達なの!!
今行かなきゃいけないの!!

も… 何で閉まらないのよこのドア!!」


真木が廊下を曲がり
その姿が見えた時


――― 驚いた事に

もうすぐ追い付きかけた瞬間
ドアマンは黙って、ボタンの一つを押し

そしてドアは静かに閉じて
唖然とした顔で消えて行く、
真木の顔を見送った



「 …あ、ありがとう、です 」


ユカちゃんもその展開に驚いて
たどたどしく頭を下げる

ドアマンは柔らかく笑って
それ以上、何も言わなかった