いばら姫







―――翌日は、空に入道雲



「おはよう! 岡田君!」

「…新原…
ラジオ体操位
すぐに行けそうな元気だな…」


「体操はいいよ〜
軽い朝の運動は、脳に酸素を送って
活性化させるし!
…あんまり血圧低い人はなんだけど
ご飯きちんととってれば
そうそう元からの体質で貧血の人って
居ないんだけどなあ

岡田は、朝食った? 」


「…いや コンビニか何かで
済まそうかと」

「いかんなあ
近くで何か食べて行こう」

「こんな朝早く?マックか」

「朝だけやってる、和食屋があるんだ」

「……いいね 」



昨日通った横断歩道を渡り
すぐに曲がったビルには
飲食店の看板ばかり


エレベーターに乗った二階には
『レジェンド』と書かれた
バーが一つと
『我が家』と書かれた店の
小さな扉だけ


―――右側のカウンターには
おばあさんが独り

昔の邦画に良く出ていた
老人役が定番の女優に、少し似ている

「おはよう お母さん」

「おはよう!」


左の奥には座敷
胡座をかいて、漬け物を食べている
エリートサラリーマン風の
男が独り

十人も入ったら
店内は一気に埋まりそうな広さだ

二人でカウンター席に座ったけど
…メニューも無いし


ただ
――すごく昔に嗅いだ様な
朝の味噌汁と
ご飯の甘いにおい


出されたのは
玉子焼きと、味噌汁
竹の子の煮物


「嫌いなものあったら言ってね
好き嫌いは、誰にでもあるから」

トントン、と音がして
最後に カブの漬け物が出された

「あずの好き嫌いは聞いたけど
岡田、好き嫌いある?」

「なんでも食べるよ
子供の時は、梅干しがあんまり
好きじゃなかったけどね」


「……あら 阿尾森の人?」



「――― わかりますか…?」