いばら姫





新原の携帯はすぐに反応して
喋ろうと思った途端に、微かなノイズ


『 ―― おはようございます!
"ストレッチ王子"こと新原は
ただ今電話に出る事が出来ません

折り返しかけ直しますので
お名前と御用件を、
ピーっと言う笛の音の後に
宜しくお願い致します 』



必要以上に爽やかな
新原の笑顔が頭に浮かんで来る中
至急連絡が欲しいと留守電に残した


真木の方にも新たな情報の気配で
何回も頷きながら、携帯を気にして
電波が悪いのか、窓際に移動した


「 真木 」


「 ―― 青山は朝、ハーレム街の駅
135th Streetの地下鉄に乗ってる

…アズルも行き先が判っていたのか
暫くして、同じ駅から列車に乗ったのを
その辺りじゃ一番古い教会に
ゴスペルの練習をする為
来ていた人から目撃されてる 」


「…自由の女神に向かったのか? 」


「 いや
それなら車を拾った方が早い

フェリー乗り場でも
島内でも、二人の姿を誰も見て無いし
二十四時間体制で
湾岸警備隊が見張ってる

…青山を放置する場所には
選べないだろう 」



「―― ボスって言ってるのに
誰も水谷の居る場所って言わないんだな 」


『 … アズがこういう状況で
自分の居場所を必死に教える訳がないし
それに岡田さんとも
青山さんの事ボスって話してたから

…今の話で回廊は
地下鉄と合致する可能性も出て来たね 』



――― 画面には新たに
マンハッタン地下を走る路線地図


「 まだ何処かの駅から
二人が出て来たのを見たって
情報が無いからな…

乗り継ぎも容易だし
改札口も街中に沢山…
人が多い時間なら、
紛れて判らない可能性もある 」



―― 苛々しながら携帯を弄った

画面が点滅する





『――… オカダ? 』


「 …ジョンさ… 」


『…チョット、
気になる事が判ったんだヨ… 』



「―― どうしたんですか?! 」