いばら姫






『… 真木さん ノート貸して 』


真木も何か感づいた様に――

すぐに横へ移動し、
テーブルに手を着きながら
灰谷が弄る画面に視線を走らせる

―― 恐ろしい速さで
骨張った手がキーボードを打つ

最近だいぶ俺も早くなったけど

灰谷は手元を一切見ないし
果てには携帯まで取り出し操作している



マップサイトから
マンハッタンの地図

そして、
RELIEF・攻略・WAN・マップの文字を
検索に打ち込むと
初期に発売された攻略本に載っている様な
【WAN】の地図が表示された



『… RELIEFの公式攻略本は初期に出て、
各民族の出発三国と
その周囲しか載ってないから…

WANにはLevel20付近にならないと
来られない

この人はそれ以降の地図を
かなり綺麗に自作して載せてる 』



半透明に加工された二つの地図は
サイズを合わせられ、重なる


すると

ウォール街は市民競売場に

セントラルパークは
教会や噴水のある広場に


チャイナタウンやソーホーは
プレイヤーが経営している店舗街

ハーレムは
酒場や皆がバザーを出す界隈


空港は、WANの門に重なった―――




「こんなの、聞いた事ないし
………誰も気が付いてないぞ… 」



『…制作者側が、
こういう悪戯をする事は良くある

CDの隠しトラックと一緒 』



「―― 何でアズはこれを… 」



『…アズは完璧に
自分が行った場所なら、道を覚える

……多分、
頭の中でマンハッタンの地図と
WANの地図が重なって解ったんだ…』



「…… な 有り得ないって!
確かにあいつ、
女にしては道覚えるけど
しょっちゅう変な所行って
迷ったりしてたんだから

制作者の誰かに
聞いたんじゃないのか?!」



『…何回か迷って、
頭の中で地図を作ってたんだ 』


「 …成る程な 」


真木が当たり前の様に納得する