いばら姫





真木が、
ユカちゃんを不安にさせない様に――

旅行から帰って来た妹に、
何を見て来たか聞く風情で
体を前に乗り出した

するとユカちゃんも
アタフタと髪をいじりながら、
それに対して返答しだす


「 こ…ここの隣に泊まって

セーター間に合わないかもって言ったら
ハルトさんが色々教えてくれて…

なっ…なんか、凄いんですよ?!
男の人なのに、すっごい詳しくって 」


「 服のデザインとか
出来るらしいからな 」


「 あああ!そう言ってました! 」


「 …そういやよ
――― 青山と会ったか?
アズルは水谷と
どっか行ったみたいだけど 」


「 へ? …青山さんも
こっち来てるんですか? 」


「…青山には連絡してないのか 」

「 な…何か慌ててたせいか
どっかに落としちゃったみたいで…
電話番号覚えてなくって
けっ 携帯あると、覚えないって言うか 」




「――… ボウズが迎えに行ったのか? 」


「っはい!
明け方まで編み物してて…
アズさん迎えに来たよって
ハルトさんが起こしてくれて
三人でここに来ました 」


「… ボウズ、何か言ってたか? 」


「 何か……

アズさん心配してくれて…挨拶して…
teri、隣のホテルに居るよって
それで笑いながら、ここに 」


「 ―― teri? 」



真木が、「 誰だそれ 」
そう言った時に
灰谷のいる部屋の扉が開いた

まだ顔はムッとしていて、
俺の後ろを通過し
クッションを持って、
窓際のヒーターの前へと向かう


ユカちゃんは肩を縮め
それでも心配そうに、
灰谷の背中を見つめる



「…灰谷がやってる、
キャラの名前がteriなんだよ 」


「―― ボウズとオマエが知り合った
例のゲームか

…って、遠矢もやってんのかよ!」


『 …うん
お互い知らなかったけど、
随分前に
一緒にパーティー組んだ事もある』


真木は驚きの声を挙げ
俺は口の端だけで笑った


『 … ユカ 』