エクレシアの話には
かなり興味が湧いた
けれど
階段を降り、重い防音扉を開け
―――そこに居る人数に驚き
それは頭から吹っ飛んでしまった
「…これ 全員、スタッフですか?」
俺がつい そう聞くと
「明日にはこれに
PA関係の、本来のここのスタッフが
参加するから五十人位かな
半分は、黒のキャップとTシャツ
半分は、観客として紛れ込む」
「…普通、こんなにいませんよね」
「そりゃ『Azurite』だからね
――今1番売れている、歌姫
物騒な書き込みしてる輩もいるし
用心に越した事は無いから」
『んじゃちょっと、照明落としま〜す』
会場に放送が入り
全員声をあげる
ライトが消えて
ライヴハウス内は
暗闇に変わった
――― 後方から中央
ステージに張ってある
スクリーン変わりの白い布を
細い光が目指す
…カラカラと微かな、8ミリの音
③ ② ① と
カウントが始まり
『Azurite』の姿っぽい
マジックで書いたイラストが出て来た
噴き出しには
台詞が書いてあって
『肉キライ!』とか
金ちゃん走りで横移動を始め
場内は爆笑になった
「…これ
本番で流すんですか?」
少し吹き出しながら言ったら
松田さんも
「いやー! ダミーでしょう」と
腹を抱えて笑っている
―――8ミリを覗いているのは
頭にタオルを巻いた
ランニング姿の男
腕の筋肉が、とても目立つ
――― 横には "真木"
…こいつが "池上海平" か……?


