いばら姫



「 ボウズ

さっき荷物届いたから、自分で解いとけ
携帯の充電器も置いておいたから
右奥の部屋だ」


銀縁の眼鏡をかけた、真木の指令を受け
アズは「はい!」と部屋へと向かい
真木自身も
スーツケースを拡げて
早速PCに向かい、指を走らせる




「 ――んで、青山 」


「 …ん? 」


「 …そこに居るとさ
アズルがいつもの調子で、」


「――… ああ 」


青山は、" 了解 "と呟き
体を伸ばしながら左側の部屋へと向かう

ジョンさんも釣られた様にアクビをし
青山の隣の部屋へと
真木に促されて入って行った



金糸の房が付いた、厚手の生地のカーテン
外には相変わらずな空色

セントラルパークの景色が
天井迄届く、長窓の枠に入っていて

" 古城の中から森を眺めている "
そう見える様に計算されている感じだ



「―― 岡田
そんなに心配しなくても平気だぞ

この"古き良きヨーロッパの城"は
取り敢えず、窓に防弾ガラス
各階の四隅に監視カメラ


要人が頻繁に使うホテルでもあるから
階下のエレベーターは
最上階の物とは別で、途中で止まって
ここへは来ない

ホテルの人間は、
お互い顔を認識してるし
他にも諸々、警備は元軍隊とか…

だからマッド・デイモン張りじゃないと
侵入は不可能だな

油断はしないが ―――


それと灰谷、
病院居るのがイヤなら大人しく
ボウズの隣の部屋で寝とけ 」


『 …判った 』


灰谷は素直に

――― 部屋に行く訳は無くて

途中で方向転換し、
アズの部屋へと入ってしまう


一瞬驚いたけど
扉は閉じずに開いたままで
賑やかな談笑の声と

途中からは
……超絶綺麗にハモった
二人が歌う、例の戦隊物の挿入歌が
部屋の奥から流れて来て
感心と同時に吹き出してしまった



「… 岡田も寝ろよ

灰谷に行かせようとした部屋に
オレの服あるから 」



「 …おやすみ 」



真木は微笑みながら
カップを片手に挨拶をし
再び顔は、PCの青に照らされる