いばら姫





「 ――― タカオさん!!! 」


窓に手と足を掛け
タカオさんを追おうとした俺を
灰谷が服を引っ張り止めた



『…岡田さん
追い掛ける必要無いから

心配しなくていいよ
アズと青山さんは、無事だから
今、セントラルパーク前のホテルに居る』




「…… え 」



灰谷はソファの肘掛けに座り
下を向いて、携帯を弄った



『 ―― 今朝の男達
水谷を警戒して、梅川さんと竹田さんが
街に放ってた人達なんだ


…貴方も
あのまま日本に居たら
何されるか判らなかったし
だからこっちに呼んだ 』



「―― 何かって……」



「 …体を傷付けるだけが方法じゃ無い
居場所を無くし、孤立させ

―― 普通の虐めだって
そういうのあるだろ

…だけど奴は、その先を作る 』



「 ……先 ? 」


『 …アズを独りにして、その後
自分の部屋に呼んだ
――― 偽の楽園だよ



貴方の場合もそうだ

…最初の工場
貴方に絡んで来た奴を、
唆していたのは水谷だ


そうやって貴方に夢を
――― アズの元へと目指す道を
絶望に繋げて…

結局実家に戻し、
貴方を阿尾森から出す気なんて無かった

…ついこの間迄遊び回ってた
俄か映像好きの撮る物なんか
鼻にもかけてなかったろうしね


―― だからジョンさんの存在は奴には盲点だったんだ


焦って、貴方の友達に近付いて

…ファックスを送ったのも
多分、水谷
これは今、調べてる

貴方を向こうに足止めさせる様に
仕組んだんだと思う

実際ハシバさんが居なかったら
貴方、ミチルって人を心配して
傍に居て
こっちには来なかっただろ 』



「 ……… 」