いばら姫




鈍色の空は
出て来た時の明るさと、
あまり変わらない


それでも
赤や黄色に、漢字の看板の下の雑踏では
店を開け始めた朝の空気の中
パワフルな掛け声が響く


人通りも既に多くて
屋台で粥を啜っている姿
露店の店先には、日本とは違い
肉まんや菓子類では無く
サンドイッチやバーガー類が並んでいた


「…アオヤマ! これ! 」



雑然とした通りに
頭一つ出した、高いビル

朱に、
"Silver Unicorn'と黒字で書かれた
目立つ看板の柱の横で
寒そうに腕を組んでいた青山に
ダウンを渡す

青山は頭を下げて、袖を通した


真木は「寒っみぃ!!ムリ!
オレ、そこ入ってるわ 」と
目の前の
狭い食堂に入って行こうとしたけど
コートの内側を探って、クルリと踵を返し
青山の元に歩いて、金を借りていた






「 岡田、 平気か? 」


「… 寒いのには強いよ 」


声をかけて来た青山にそう言うと
納得した様に笑った


それ以上、奴は何も言わず


―― 俺はまだ
解決出来ていない
一連の出来事について考えていた




俺が休みの日は姿を消す
会社前のバン

これは、吉田さんも言っていた様に
別人を張っていた可能性も高いから
一先ず保留


… やたら『何故か』の縁があって
アズと昔一緒に住んでいた
タカオさん経由で
ミチルと俺が、部屋を借りる

そこへ届いた、謎のファックス

昔ここに住んでいた女と、
一緒になると言うタカオさんの言葉


けれど
アズと一緒に住んでいた部屋は
別の場所で
そこはもう今は無い




―――そして、灰谷の言葉

『 そうなる様に仕向けた 』

『奴は岡田さんを
阿尾森から出す気なんか無かった』

『 もっと早く青山さんは、
アズに会えたのに 』



…でもこれは












「 あーっ!! クウヤ!
美味しそうな物食べてる!! 」