いばら姫





慌てて後を追った

青山の視線の先には



――― 白いベリーショート



追っただけあって
背の高さも髪色も、かなりアズに似ていて
俺も息を飲んだけど

…完全な人違いだ



青山がキャップの下で、一瞬唇を噛む
けれどすぐに両腕を組むと
早足で道を歩き始める



――― 心臓の動悸

急に刺した様に、こめかみが痛くなる


… " 今まで通り
捜す事だけを事務的に考えろ '

その痛みを振り払う様に
自分の中に命令を出す




……― 青山 おまえだけじゃ無い

アズの事だけで心をいっぱいにしたら
俺は俺で居られなくなる
まともな行動なんか取れなくなる


ただ泣き叫ぶか、怒るか、
――そうやって前の俺は
アズの注意をひいて来た

…… そんなの何の役にも立たない






――― 青山に、止まる気配は無かった


学生が好みそうな、倉庫街ソーホー

窓際に
綺麗な皿がディスプレイされていたり
絵を売っている店が立ち並び

昔は売れる前の芸術家達が
沢山集っていたという、
雑多な雰囲気は消えていた


…青山は
だいぶ毎日、歩いたんだなと思う
足取りに迷いが無い


赤錆色の街灯が並ぶ
コンクリートの道を下ると
―――― 突然、鳥が集団で
飛び立つ羽音と影



車が往来する、広めの道路の向こうに
灰色の空と、
茶色と緑の木々の
コントラストが水平に見えた