いばら姫





「―…灰谷!寝てなかったのか?!」


灰谷は俺のその声に答えず
携帯のボタンを押してポケットに突っ込み
片手で髪をかき上げる

ゴツゴツと
ブーツの音をたてて前に廻った





『…ねえ 岡田さん

――― 変だと思わない? 』


「 …な、何が 」


『…… 阿尾森から東京に出て来た
岡田さんと友達のミチルさん

――来た当初、周りと馴染めなくて
少し孤立してたらしいね


そして何故か偶然、
アズと一緒に暮らしていた
ミズタニと知り合って
……何故か家も貸してくれた』



「――― 知り合いが知り合いに
部屋貸すなんて
良くある事だべな

俺の家だって、知り合いだからって
安く部屋貸す事あるし 」



『 ―― 貴方も
ミチルさんの友達が旅行に行くからって
何故かあの部屋借してくれたらしいね 』



「な…何故か何故かって…
ミチルは良い奴だし
ミチルの友達だからって
信用してくれたんだろ?!」



『…… 顔も知らない相手に…?
―― しかも東京だよ?

おかしいと思わなかった?』




「…――そりゃ…少しは… 」




『…大好きなアズの事は
あんなに疑ってたのに? 』




「―――― !! 」