いばら姫





「―― 家を出て、」

…何もかも上手く行かなくて
暫く辛い時期が続いた事は省略した

「 俺が撮った映画、
…落選はしたんだけど
その時審査員だったジョンさんが
手紙をくれて、東京に出て来た


先に学校に通う為に東京に来てた友達が
水谷さんと知り合いで…

水谷さんがこっちに来るから
千葉から通ってるその友達に、
大変だろうからって部屋を貸してくれて――

一度一緒に飲んだ
翌朝、会社迄送ってくれて
その時、今の話を聞いた


…… 昨日、ひょんな事で
そこがアズと水谷さんが
一緒に住んで居た部屋だって知った… 」



――― 青山は何も言わず
しゃがんだ膝に腕を延ばし、乗せたまま
視線を真っ直ぐに、何処かを見ている

火がフィルターまで燃やし始め
そのうち消えた



「―― あずると水谷が暮らしたアパートは
一年前の春に放火で燃えた 」



「――― え……? 」



「 だから それは嘘だ 」