いばら姫








――― クリスマスツリーの下

地下の秘密基地にはまだ人が居るらしく
音楽と声が微かに響いていた




「…昼、観光地で一服しようとしても
何処も禁煙で参った 」


低い声がそう笑いながら
煙草をくわえ、片手で囲う

長い指と口元が
マッチの灯に照らされ
一瞬
硫黄の匂いを残してすぐに消えた


「…… そんなにか? 」


「 この辺りに
企業の店が進出して来たキッカケは
スタバらしいけど、勿論駄目だし

…結局根付かなくて、
撤退した所も多いらしい

―― 持って無いのか? 煙草 」


「…無いな 」


「…無いなら言えよ 」



青山は封を空けたばかりのそれを
人差し指と中指の間に挟んで渡して来る

揃えたマッチ箱がカチャリと鳴った



――― 白の点滅に照らされた横顔

見上げると
だいぶ痩せた様に見える

その分眼光が鋭くなっているのに
纏う空気は静かだ



「…あんた 随分落ち着いてるな」





青山はしゃがんで
煙を思い切り吐き出した後、呟いた



「 ――― 真木が掠ったなら、
あずるを傷付ける事は無いから 」



「―――――― は? 」



「…Global本社が掠ったんじゃ無い

空港に着いてすぐ
真木が車を奪って、
あずると一緒に逃げた 」


「……嘘だろ?! 」


「池上がその場に居て見てる
…だからこの事は、池上と俺
あの場に居たGlobalの人間しか知らない」