いばら姫






「 オカダ!寒いだろう
キットお腹も空いてるハズだよね 」

「―― あ 」


車に乗り込むマイク達の姿が見えて
「すみません
彼らに挨拶したいです」とジョンに告げる

ジョンはニッコリ笑い
俺の肩を抱きながら、オレンジ色の車へと
長い足をサクサクと動かし、
大股で近付いた


運転席の窓に肘を出して、俺を見るマイク

助手席でおどけるフェデリコ

もう俺は降りたのに、
大きな体できちんと座るテッドが
こちらに体を乗り出す


――― 夜の街に馴れていそうとは言え
ポールの言う通り、
危険な街を走ってくれた事に
感謝したかった



…咄嗟に財布に手が延びた自分を恥じる




「…… Thanks!! 」


やっと出て来た台詞は
それだけだったけど
彼らはそれぞれの笑顔で返してくれた


エンジンの音が大きくなり
慌ててリュックを探る

―― 身軽にと思って、
たいした物は持って来ていない

サイドポケットのファスナーを開けると
サングラス

後はDeepSの黒いキャップと――
腕を伸ばし、それを差し入れると
テッドとフェデリコは大喜びで
迷う事無く各々、テッドはキャップ
フェデリコはサングラスを手に取り
早速身につけてポーズを付けた



――― そしてマイクにはタバコ
" お "という顔をして、
だけど今迄で一番嬉しそうな顔で笑う
そして 「 アリガトウ 」と一言

俺はかなり嬉しくなって
右手を出した


激しい握手会みたいになって
車内にはまた、大きな音が響き出す


「 "My man. ...Keep it real' 」


低い声でマイクはそう言って、
まるで映画みたいに、
白い排気ガスを残し、走り去って行った




「――― カッコイイなあ… 」

思わずそう呟くと
ジョンは"ヘヘヘ"と笑って


「マイクはアクター、俳優ヨ
オフブロードウェイで頑張ってる 」

「…… おおお 」



「オカダ、もう行こう
ボクから離れないでね 」



―――― 急いでリュックを担いだ