いばら姫







暖かい部屋のテーブルの上には
マグカップが四つ

ファックス紙を見詰める
凍った空気の中で
ミチルお得意の
蜂蜜レモンが湯気を立てていた




「… 自業自得なのよ

ここに書いてある……
そういうビデオに出てた事は事実だし 」


「でもよ…

"あの人に近付いたらばらす"なんて
これきっと女だろ?!
女がそういうの見るって
あまり想像つかないし……
しかも出たのは一本で、
大して売れなかったとか…お前言ってたし

そこからわざわざ見つけるって…」


「…もちろん、こっちの誰にも言って無いよ
当時と私、だいぶ顔は違うけど
整形した訳じゃないし…
何か偶然、知った人が居るんだと思う


――画像も映像も
幾らでもネットにあがる時代だし

私もこっちに出て来て、
友達出来て嬉しくて、調子に乗って
クラブも飲みもガンガン行って
顔、晒してたしさ…

電話番号もメアドも
バンバン教えてたから
―― 誰がこれを送って来たとしても
おかしくないんだ… 」




「――… 恨まれた覚えは 」


「私、調子良いから
…でも基本、
女友達と行動する方が多かったし


…… あ 」


「―― 何よ 」



「…… タカオさん 凄くモテるの…

神様じゃないかって位優しいし
最初気後れして、
皆の中に入って行けなかった私に
声掛けてくれたのもあの人だったから…」



――― ああ





「… タカオさん
特に仲の良い人にしか
言って無いんだけど

プロのミュージシャンなのね 」





「―――おお …目立つ意味判った 」


「… 私も
会ってからそんなにたって無いけど
仕事の都合で海外行くからって
この部屋借してくれる時
郵便物とか届くかもしれないって
教えてくれたのよ 」


「 有名なのか? 」



「淳、Zattsu Low ってバンド知ってる? 」