いばら姫





―― 表示された名前は 『 ミチル 』


すぐにボタンを押し、
「はい」と返事をしたのに、何故か無言

灰谷の言葉があったから
もしかしたら別人の成り済ましかと
少し警戒した


…… だけど様子がおかしい



「―― ミチル ? 」




暫くすると、しゃくり上げる声


「……お前 泣いてるのか ? 」



ハシバと吉田さんが一斉に振り向く


「 とにかく行く 待ってろ
――― 電話、切るなよ」


しゃくり上げる声の中に、
小さく『うん』と混じる息


「… 向かって貰えますか 」


ハシバは大きく頷き
吉田さんは「もちろん」と首を縦に振った