いばら姫





―― ハシバ一行に連れられ潜ったのは
あまりハデなネオンも無い
Seroに連れていかれたみたいな
特色も無い普通のビル


吉田さんが
向かいに明かりを燈している、
"倶楽部 銀舎利"と書かれた白黒の看板を指差して
「…いにしえの"銀巴里"のパクりだ!」と
大喜びしているが、意味が判らない



――― ひと二人がやっと擦れ違える様な
狭い階段を降っている間にも
ハシバは周りに注意を払っている


黒いニスで塗った感じの、少し窪んだ扉

ハシバが開いた瞬間、沢山の笑い声が聞こえた


―― 姿が映り込みそうなタイル床は
相当年季が入っている

天井には煙草の煙
シャンデリアの薄い光


観葉植物で中を隠している
細長い、入口からの通路を抜けて
カウンターにはバーテンダーが一人

急に開けて、
テーブルとソファが並び
中心には巨大な、展覧会に飾られていそうな
フラワーアート

客層も店員も、年配が多いかと思ったら
年齢はまちまちで、普通に女性客も酒を飲み
店の"お姉さん達"と賑やかに談笑していた




「…いらっしゃいませ 」



――― 執事風の初老の男性に
その店の奥へと案内される