いばら姫






一応、タバコを一箱買った

レジの店員は、俺と同い年位

"セントラルパークと言う店を知りませんか"
そう聞いてみる





「 あ〜〜 オミヨさんの店ね よかった
あそこは老舗だから判りますよ

俺、…最近来たばかりなんで、
あまり詳しくは知らないんですよね
地図書きますんで、少々お待ち下さい 」


「 ありがとう 」




コンビニの軒先で
心細げに雨空を見詰めている
吉田さんの元へと走った


「…おかえり 場所わかった? 」


「はい
…ついでにあのレジの人の携番も一緒に 」


「 うっは …積極的なんだなあ」


ガラス越しに後ろを振り返ると
レジの人がニコニコ笑いながら
俺に手を振り、吉田さんにも挨拶をした


「…いい人でよかったな 」


「 はい 」




傘を開き
彼が書いてくれた地図
――― それを覗いた瞬間

ネオンに反射する毒々しい色と
毛皮の感触

あまり聞き慣れないトーンの
はしゃぎまくる声
せわしく鳴るヒールの足元は、
俺や吉田さんの靴よりデカイ

濃い香水の匂いに取り囲まれながら
両脇を固められ、
歩く意思無く、引き据られて体が横移動していく


「ちょっとぉ
方向音痴にも程があるわよ〜
アタシタチの店は、コ・チ・ラ」

「ご案内よ〜〜! 」

「久しぶりね〜?
ご一緒したのは野外ライヴ以来かしら〜!」


―――― え


俺の横の
赤のインドスタイルのドレスに身を包んだ
プロレスラー並の巨体は、
金髪のウィッグの下、真っ赤な口紅

何でも噛み切れそうな白い歯を
ニッカリ見せて
俺に思い切り、ウィンクをした