いばら姫




「―― 教えたら、行くでしょう 」


「…そりゃ〜…行くさ 」



「― わざわざ判っていて、
危ない場所に行かせる馬鹿はいません 」




―― 俺は思わず笑ってしまった
いつもアズ側にアブナイと言われて

……… これじゃ丸っきり逆だ



「…ん〜
俺、最初は、中央公園

―― マンハッタンの
Central Parkかなあと思ったんだよな

…でもこの時間までになんて無理だし
新宿とも書いてあるから 」


「 すいません
俺ちょっと、
そこの交番行って聞いて来ます 」


「あ… 待って 俺も行く 」



ドアを開いて、外に出る
吉田さんが後部座席から、
スニーカーの踵を踏みながら後に続いた






「―― 店の名前です 」





早河さんが、強く息を吐く様に
俺達をその言葉で引き留めた


「 …店  」



「―― 二丁目のゲイバー
"セントラルパーク"と言う店

… 多分そこです 」




「 早河さん …ありがとうございます 」



「…俺、二丁目潜入初めてだわ 」

吉田さんが体を摩りながら足踏みする


「もちろん俺もですよ 」





「――― 岡田君!! 」




運転席の窓から
… 切ない様な、怒っている様な顔で
早河さんが俺の名を叫んだ



「― 岡田君
……勢いだけじゃ

あの子は救えないぞ………!!」





――― 早河さんはそのまま
俺の返答を待ってる



…… 『俺、勢いしかないですから』とか

そんな感じのカッコイイ言葉は
幾つも浮かんだけど

それはどれもが
俺には不似合いで


やっぱり変な、俺を嫌ってる奴には
"やに下がってる"と言われる笑い顔


それを返すのが精一杯だった