いばら姫





すると吉田さんは
上目使いに俺を睨んだ


「…迂闊くん
もし俺が
"奴ら"の仲間だったらどうする 」


親指で、窓の外を指す


「… あ 」


「…… これ自体も、
岡田を誘い出す手じゃないか?


敵が、『Azurite』のファンで
関わりのある君に、
嫌がらせしたいレベルなのか
ボコりたいのか…
はたまた別の何かがあるのか

予想出来る物が多過ぎて
検討つかないんだよなあ…」



「でも…!
表見て下さい!
――― 『Azurite』の、空の表紙って…

しかも、灰谷も転落事故を起こしてる
それだってもしかしたら…!」



「見たよ

でもこれだけで
『Azurite』側からの
救援信号って事にはならない
子供のイタズラレベルだろ
……ん〜 

灰谷の事故の事は、知ってたし
早河にしてみたら
尚更近付いて欲しく無いんだと思うな

その『Azurite』の件は、
場所と立場を弁えなかった奴が悪いけど
本当に恋心からの行動で…
真面目に生きて来た奴だから」




「……… でも嫌がらせなら
会社から出た所や、

…多分家もバレてるだろうし
こんな回りくどい事
しなくてもいいと思います 」



「… そこなのよ

だからどっちか判らない

ん〜……
もっとヒント無いかなあ

―― あぶり出しとか無えよな 」


「 まさか 」



緊迫した空気が
吉田さんの冗談で、少し和らぐ


「…そのレシート、ちょっと貸してくれ 」