いばら姫




「…あ、すみません」


―― 足を出した男は
そう言いながら、立ち上がり



" お待たせしましたあ "

お店のお姉さんが、そいつに弁当を渡し
男は すれ違い様に
何かを俺の手元に握らせた


続けざまにお姉さんが
俺にも声を掛けて来る


――― 何を渡したのかと

…… 追って捜そうと思ったけれど
確認しようと振り返った時には
もう男は消えていて ――



灰谷の事情も知りたいし
俺は早足で、仕事場へと戻った