いばら姫




「 まあまあまあ!
ほらほら皆!
鍋煮えて来たから食べましょうよ!
お腹空いてると、ロクな事考えないし 」


「でた! ミチルさんの得意な台詞!」


「…ミチル、
マネージャーやってたしな」


「えーっ?!凄い納得〜!」


皆、顔を明るくして笑いながら
ポン酢を開けて
それぞれ、その夢を目指したキッカケ

子供の頃の話や、高校時代の話をし始める


―――― 基本 ここの皆はまだ学生で
『 先輩に聞いたり、本で見た話』を
自分が経験したかの様に語っているだけ

だから引きずる事も無く、
もう鍋の中の肉に夢中だ




「岡田さんは〜
何で映画やろうと思ったんですか?」


さっきから、
ミチルがタカオさんを見るみたいな顔して
ずっと俺を見ている女の子が質問して来た


モデルやってるとか言ってた子で
この中では一番の出世頭らしい

…でも俺、結構
色々なファッション雑誌見てるけど
この子の顔は、見た事がない




いつの間にか、タカオさんと俺の間に移動して来ている


――― 自分に自信があって
まず自分を見せに来て
声をかけて来るのを当然として
待っているタイプ




「…あんまり娯楽なくてさ
いつの間にかかな

あ すみません、タカオさん
この辺詳しいですか?」


「うん 中学からこの辺だから」

「バイク屋ってオススメあります?
スクーターでも買おうかと思って」


「ああ、それならね 」


…… タカオさんは
俺の意図を汲み取ってくれたみたいに
"あまり有名では無い、女の子が喜ばない"
地味な部品や、メーカーの話を振ってくれる


そのうち、他の男連中も入って来て


――― あっと言う間に
誰かがベスパやハーレーの話を持ち出し
待ってました!とばかりに、
さっきのモデルの子が口を挟んで来た

ミチルは結構、普段は空気読む奴だから
俺が乗ってた事は言わない


でもタカオさんとの共通の話題が欲しくて
俺を呼んだ部分もあるだろうから
やっぱり女の子だなあと思う