いばら姫







晴れた空の窓を全開にして風を入れる



――― 少し、朝は肌寒い




どうしたらいいんだろう

誰に聞くとでも無く、そんな呟きが洩れ
自分の狂った行動に、震えが起きる


灰皿に置いたままのタバコが
自ら長い灰を落とし、微かな音


カーテンが風に揺れ、
テーブルの上に置いた携帯が
大きな音で鳴り出して
眩暈と動悸で、頭の中が揺れる




"森野"

俺がナンパばかりしていた頃の悪友

大学を卒業してからは
親戚がやっている人材派遣会社で
手伝いみたいなものをしていて

以前人が足らない時
何とかってデザイナーのパーティーの
案内役に借り出された時もあった



ナンパしていた時も
声かけはまず、森野がしていたし
人を勧誘するのはうまいから
自分に向いているかもと言っていた


―― そういえば西も付き合いで
そのナンパの馬鹿騒ぎに参加してたけど
毎回あまり、乗り気じゃなかったな…

いつも何だか、心配そうに
俺を見ていた気もする

たまにそれが、だるい時期もあった



片腕を伸ばして携帯を取る