いばら姫






とんぼ返りの様に東京へ向かう為、
部屋で荷造り

西は いそいそと
普段使う物を綺麗に整理して
ボストンバッグの中に入れてくれている



「もうすぐに行っちゃうのか?淳 」


「うん 勘当同然だしね
じっちゃと弟には、
頑張れって言って貰えたけど 」



突然
床に置いてあったタバコを吸って
西が俺の横で、一つ溜め息





「―― ヤバイね… 」


「何が? 」


「―――… うん
あれ…反則だよ…

…ちょっと、アキの事忘れて、
思考ぶっ飛んだわ… 」


「……アズか 」



「うん…」





―――あの日
俺とアズが部屋に戻ると
西がテレビを眺めていて

ニュースでは
今夜やるドラマスペシャルの番宣で
アイドルグループの何とか言うのが
一生懸命話していた



それを三人で見ながら、
"これはあの後気になるな"とか

西が、時代劇好きだと話すと
アズもかなり
時代劇を見ている事が判って盛り上がった



――西はアズにもう夢中で

人が、
抗え無い蜘蛛の巣みたいな物にかかる経過
それをこの目で目の当たりにして


驚いたのは、女の勘なのか
それを見計らった様に
西の携帯にアキから着信


やっと我に返った顔でいきなり
「…明日仕事あるの忘れてた
帰る!!
淳、退院する時連絡して!」と

西は少し引き攣った笑いで
逃げるみたいに病室を出て行った