真木は流し込む様に食い終わると
「んじゃな」と席を立った
「…仕事か? 」
「 おう …オフ終わって
これから『Azurite』の新プロモ撮影
――オマエが言う通り、
入院してる事は誰にも言ってねえよ
帰るわ 」
矢継ぎ早にそう言ってドアまで進み、
突然 歩みを止めた
「 岡田
東京出てくるつもりなら
オレの麻布の部屋、貸すぞ 」
「…… は? 」
「 …ツテも無い所からの東京暮らし
そこから映像監督目指すのはキツい
……良い脚本が書ける事、
映像が撮れる事
そこに至るまでの周りの人間と
上手く繋がって行く能力は
また別だからな
―― 松田さん覚えてるか?
あの人に話は通してある
オマエも用意があるだろうから
働き始める日は相談しろ
部屋の住所はここ 鍵も渡して置く
好きに使え 」
「… 何でお前が…」
「 ―― アズルを掠って行く詫び」
「………な!! 」
真木は臙脂色のシャツと振り返り
ポーンと裸のままの
シールしか貼っていないCDを投げてよこす
「…オマエらみたいに『天性』って物が
オレには無いからな
姑息に行くぜ? 」
真木は
人差し指で、自分の頭を叩きながら
歯並びの良い口元で笑い
凄い勢いでベットから起き上がった俺から
急いで逃げて、ドアを閉めた


