いばら姫
















―――― 朝起きると

ソファから二人は、消えていた



体には鈍痛があるけど
起きられない事は無い

テーブルの上には、文庫本

『−ニューヨーク紀行−』

… 旅行記




――― それを棚に戻した時
ハンカチの包みを見つけた

部屋の扉が開く


「 岡田 起きたか

病院行くぞ
下で梅川さんも待ってる 」


「―― これ 」

アズの忘れ物かと思った


「 ん?
…ああ 月9でドラマやってただろ

彼女と喧嘩したまま、
外国に旅立つ彼氏が置いて行った
小道具の桜貝の予備


"彼女がそれに気が付いて
昔デートした海を走り
空港で引き留めるシーン"

あの海は、そこで撮影したんだ


欲しければやるよ 」


真木はタバコを出して、マッチを着けた


「…真木さん 寝てないのか?」


「…… あんな寒くちゃ眠れねえよ
オマエら 変 」


タバコをくわえる
歯並びの良い口元が、薄く笑った



「 …アズは 」


「寝入った所で向こうに戻した

――― あ、 それとな

アズル 来週辺り、アメリカ行くから 」



「… 旅行か? 」


「いや 仕事で
当分居る事になると思う

向こうでデビューするから 」






「… な 」





「 アイツは塔を出て

――――― 星を捕りに行く 」