いばら姫






「…もし…

青山さん達から離れて…
夢を追う岡田さんと二人
どこかで、一緒に暮らして

アズさんも働く事になると思うんです」


「…あいつは家に居させるよ」

「閉じ込めるの?キモいですよ
買い物とかは?
気晴らしに街とかは?」


「…俺が全部一緒にやればいいだろ」

「……仕事は?」


「…………」



―― アズが一緒なら、
どんな仕事だってやるって
…実家に戻ればお手伝いさん付きだし



「かっ…顔が見えないネットの世界でも
アズさんは人気者だったんですよね?

…コンビニだって
働いた先にも男の人、いっぱいいるし
道にだって

その中の誰も、
アズさんを好きにならないと思います?」



――― 何だか必死かな?

…無自覚だろうけど
この子が灰谷に対して
自分が持ってる不安か




「……君こそ大丈夫なのか
彼氏、あの人だろ」


――そう言って笑って
ちょっと様子を探ってみる

首を傾げて覗き込むと、
一気にその目の奥が揺らいだ


下を向いて、呟いてみる


「…よかったら、少し話し相手に
なってもらえないかな…?」


そしてまた、距離を詰めて
ジッと見つめてみた





―――するととっさに
『ユカちゃん』は飛び退いて
顔を真っ赤にしながら、
ムッとした表情で睨み返して来る



「…潔癖だな」




――― でも実は
一番落としやすいタイプの子


『 理由のあるお節介
派手な事に興味あり
だけど自信が無いから
自分一人では飛び込んで行かない
だけど自尊心は高い 』





「――あっ…アズさんにも
そういう事すんですか?」



「……あれは
かかったふりしてやり返して来るから
俺より、うわ手だよ」




―― 少しだけ
オンラインでの事を思い出した