―― どれくらいやってたんだろう
…もう青山は、笑っていなくて
俺は倒れたまま、動けなくなっていた
奴が砂浜に
血の塊を吐き出す
そのまま踵を返して、俺の傍から離れた
右膝を奴の顔に
一発だけしっかり入れたのは覚えてる
どこからか男が
「おーい」と声をかけて来て
奴が「お」という顔をしながら
そいつに歩み寄る
霞む目をそっちに向けると
長い髪の耳に、大量のピアス
「…どうよ」
緑川はそう言いながら、
何か飲み物を一本、奴に差し出した
「歯、折れた」と言う奴の声
それを受け取りながら、
青山は、少し不服そうに笑いながら去り
緑川も「ウヒャハハ」と笑う
俺もひそかに、ガッツポーズ
――急に水を頭からぶっかけられて
意識が上にあがって来た
傍に来てしゃがみ込む緑川の手には
やけに光り輝くミネラルウォーター
頭を振って、体を起こそうとするけど
――ハンパじゃなく体中が痛くて
また頭を落とした
緑川は笑いかけながら腕まくりをすると
蜥蜴が顔を出し
それが一瞬、動いた様に見えて
とっさに目を向けたけど
それが目眩と判って
またキツく、目を閉じた
「…岡田さん、チャレンジャーだなあ
…奴、店一個位
普通に一人で壊滅させちゃうんだぞ」
有名な映画の台詞を真似て
「…"ファーザー、
俺はもっと生きたいんだ"」
そう笑って答えたら
緑川は
「"ブレーズランナー"かよ!」と
愉快そうに、ゲラゲラ笑った


