いばら姫







背中に二回目の、嫌な汗


…… 何このダークヒーロー
今それは、こっちの『役』だべな


頭が体に命令を伝えないうちに
子供相手みたいに持ち上げられて
右の拳で腹に二発


―― 奴の膝が見えて後ろに飛び退く
そのまま倒れたら
やられるのは目に見えてるから
歯と足を食い縛って懐に入り
青山を押し倒して馬乗りになる


ツラに拳を入れようとしたけど
奴の目はしっかりそれを見ていて
手の平で全部、止められた


――― こいつやっぱり
何か武道やってるな

しかもそうとうやり込んでる



でも
あんな台詞は吐いたけど
最初の一発以外、本気でやってない

楽器弾きだから
指を気にしているのかもしれないが
俺には関係無いから気にしてやらない



むしろ
あの青いピアスに触れた

―――アズにお前を忘れられなくした指




……駄目だな

こいつが音楽をやってる事だけが
唯一の隙な気がする