池上の登場で
皆なんとなく、席に着く
俺はそのままソファーに
女の子はその向かいのソファーに
灰谷は自分達が入って来た扉の前に
黒い背もたれの椅子を、移動して
それを抱える様にして座った
池上が白いティーカップに
いそいそとお茶をいれてくれているが
なんだか主婦っぽい手つき
「えっと、岡田さん?」
「……はい 」
「…酷な言い方だけどね
この勝負って
――― 青山くんが
アズルンに一回でも、キスしちゃえば
ついちゃうんだな。きっと
……岡田さん、座ってよ
僕の襟首…掴んでも、何も変わらない
本当の事なんだもの
その危うい均衡を
ずーっとここ二年、見て来たけど
―― アズルンの心を揺れ動した
貴方の存在を
常に青山くんも考えて来たし
…その方法があるのも知ってて
敢えて青山くんは、そうしてない
クウヤン…
さっきの、茶髪の、アニキね
貴方、妙な色気あるから
いろいろと、
男同士だから解る空気ってあるし
それでアズルンに近付くの
警戒してるんだと思う
僕も敢えて、家族目線ぽく見ると
貴方位カッコイイなら
女の子に困らないだろうから
……… 帰りなよって
少し、思うよ 」
――― アズをずっと見守って来た者
その穏やかな目元と口調からの
激しい拒否
「…アズルンの
どこを好きになったのかな」
「………優しい、……所です」
「優しい女の子は、いっぱいいるよ」
「…でも! 俺はあいつが…!!」
「―――アズルンの容姿は
ある意味、反則だし
…もし、初めて会った時
アズルンが、
貴方の好みと正反対だったら?
僕も体験好きだから
チャットで皆にモテモテの女の子が
オフ会に来るって聞いてね
参加した事があるんだけど
…ネットの世界で培われた
奇妙な気位だけは高い
不思議な人がやって来たよ
次の日のチャット部屋は
あからさまに、閑散となってた」
「……私も、それは思ってた」


