いばら姫





部屋の中に入った途端
女の子は盛大なクシャミ
部屋の温度が寒いらしい


「ごめん
久しぶりに来たけど
……やっぱりこっちは暑いね」


急いでリモコンを取り
クーラーの温度を上げた


「あ、気にしないでクダサイ。
…アズさんの部屋も
こんな感じですから」


焦った様に告げられたその言葉に
思いがけず、動きが止まる


――― アズと一緒に居たのか


そう思い、ゆっくりと
その顔を見詰めた



「…アズの、友達? 」

「 はい 」



「…岡田 淳です よろしくね」

片手を出すと
握手を返してくれて、すぐに離した


「……平気ですか?」

俺の口元を指し示しながら言う


「…ああ 大丈夫です」と
笑って答えると
少し居づらそうにモジモジしていたから
椅子を二つ引いて、席へと誘った



「…それで 俺に話って?」


真正面から視線を向けると
その子は立ち上がり、何やら解説を始めた



「あ…えっと、ですね!

……アズさん
なんかガマンしっぱなしって言うか…

…少し事情は聞いたんですけど…
何かまだ混乱してるって言うか

――だから!ここは一発!
デートを皆さんとしてですね
アズさんに決めて貰いたいなと思って…

ちょっと紙、作って来たんで
これにプランなんか書いて、
明日の朝までに提出して貰えたらなと…

あ!!紙は取りに来るんで…」



『…煙草、吸っていいよ 岡田さん』


「 いや 」


自分のメモ帳を切り取って来た様な
金魚のキャラクターが付いた
手書きのそれをめくる

高校生らしくて可愛いなと
少し笑いが漏れた


『…ここでは
そういう事気にしなくていいよ

………Maxim 』



――――― え……