「…Sero お前……」
「あの写真を撮ったのは
例のベーシストじゃない
ドラムだった人
――ベーシストの人は
事件の後暫く
休学してたみたいだけど
大学を卒業して
…以降はよくわからない
まだ楽器はやってるみたいだけど
アマチュアだって聞いた」
「…調べたのか 」
「興信所使ったわけじゃないよ
つてで卒業アルバム見ただけだから
当時、凄く上手いベーシストって事で
音楽やってる連中には
名前が知られてたみたいだけど
上手い人は沢山いるからね…
ギターの人は
会社興したみたいで
上手い事やってるらしい
結局バラバラになっちゃって
少し可哀相だなと思ったよ」
―― 注文した日本酒と
料理が運ばれて来て
「まず、食べようか」と
新原は、刺身の盛り合わせに
箸を進めた
「…あずはさ」
「………うん 」
「ずっと外国の病院に入院してて
その絡みで、俺の腰の手術して貰えて
復帰出来たんだ
―――俺が【RELIEF】を引退する
少し前だったか
様子がおかしくて
全部、聞いたんだよ
ずっと頭が痛いって言ってたからね
―― チャットじゃ埒があかないし
電話欲しいって言ったんだけど
結局教えてくれなくて
腹に刺された傷がある事
記憶が無くなってた事
――少しづつ、思い出した事
その時、心から愛した人が居た事
仲間との、約束
その日は
過去が『今日』になって
いきなり降って来たみたいになって
AKARIさんと三人で
パニックになってる、あずを
部屋で、ずっと宥めてて……
結局AKARIさんとは
電話したみたいなんだけど
池上さんは
あずが記憶を無くしてた間も
"新しい友人"として
付き合ってたみたいだから
家に来てくれたみたいでね
― チャットで少し、話したよ
病院に連れて行くから
安心して下さい
そう言ってた


