いばら姫








―― 暴れ狂う"悪魔メフィスト"

その甘く囁く声に
時に負けそうになりながらも
必死にいなす"ファウスト"の様に

髪を汗に濡らしたギターリストは
臙脂のレスポールを
掻き鳴らしながら叫ぶ




時を刻む様なリズム――

ドラマーはその三人の後ろで、
それが自分の役目とでも
言わんばかりに微笑み
口笛を吹き、頭を揺らしてる





――― その何も無い

砂漠と、焼け付く様な光しか射さない
群青色の空の下で


バイオリンからベースに持ち替えた
―――メディアで見る物とは
全く違う顔の

上半身を晒し
黒い革パンを履いた"ベーシスト"が
ブラックハットの下で、笑う



けれどそれは、
まるで
"待ち望んだ世界に居る"

自分達しか居ない場所にいるかの様な
幸福感に満ち溢れていて ――






――――… もし

俺がアズを知る前に
このバンドがあったなら
どれだけ好きになったんだろう


だけど

今は 


――――――――― 怖い








……なんなの
コイツら

なんで
お前らみたいな奴が居るんだ

なんでアズの周りに居る…?


……俺がやってる事なんて
意味が無い




これが"愛"とか言うモノなら


……俺がやってる事って

―――……




――――… 一体 何だ ――――?